なんとかここまで会社を伸ばしてきた。
そして、この先には大きな目標がある。

◇社長に就任してから○年がたちます。今でこそ、事業は安定してきましたが、当時は会社として非常に苦しい時期でした。資金繰りが厳しくなり、仕方なく短期間で新商品を開発する。思うように売れずに、さらに経営がひっ迫するという“魔のサイクル”に陥っていたんです。結局、落ちるところまで落ちて債権者との間に和議契約が結ばれ、再出発となりました。私が社長になったのは、そんなどん底の時期。ですから、とにかく社内が好循環するように改善していくことが最初の課題でした。結果的には、社長就任以後に出した商品は、ほとんどがミリオンセラーかそれに近い売上を記録し、少しずつ社内にも余裕ができてきた。いいものをつくらなければ、会社は発展しないということですね。

◇そもそも私がコンピュータに出会ったのは、大学生の頃。ある日、池袋の百貨店に常設のパソコンコーナーができたんです。もちろん、当時は「マイコン」と呼んでいましたけどね。そのうち、そこに常駐していたメーカーの人から、『今度会社を作るのでアルバイトしないか』と誘われたんです。それが当社であり、私としては学生アルバイトとしてのスタートになったわけです。入社してからは、プログラムづくりから企画、ハード設計まで何でもしましたね。とにかく、わからないことがあるのが嫌で、昔から何にでも好奇心を持って新しいことを知ろうとする人間だったんですよ。

◇入社したての頃から思っていたんですが、コンピュータというのは可能性はとても大きいけれど、一般の人が使うにはあまりにも難しすぎるんです。私自身はGUIなどは、まだまだ第一歩に過ぎないと思っています。その意味で、家庭用のゲーム機は、子供も大人も、誰もが簡単に使いこなせる最初のコンピュータだった。アミューズメントの商品は、操作が難しければ誰も気に入ってくれませんからね。そういう厳しい世界で鍛えられた力は、みんなが文房具や家電製品のようにパソコンを使うようになった時に、大いに発揮できるはずです。人々に楽しさを提供していくのは当たり前。その先にある「コンピュータの進化」に寄与していくことにこそ、ゲームソフトを手がける会社の社会的意義がある。私はそう考えてます。