コンピュータがたくさん動いて、いろんな情報が氾濫する。
そんな企業の情報システムをバーコードで変えたい。

バーコードシステムの先駆企業として、
自動認識の可能性を広げる

 企業のコンピュータシステムに、バーコードが活用されているのをご存じだろうか。今や、流通、製造、サービス、ほとんどどの業界にもバーコードシステムが浸透している。当社は、そのバーコードシステムを産業界に持ち込んだ会社だ。現在はとくに業種・業界に特化した業界別の営業体制を確立し、システム営業、提案型営業を推進。株式公開をめざした体制づくりも進めており、今後の動向が見逃せない。

まずは、企業のコンピュータの話

 会社にはコンピュータが必ずある。それも、ものすごい台数だ。大手企業では、何億円もの投資をして巨大なコンピュータシステムを築いてきた。そこには毎日、受注、製造、出荷、社員の出退勤など、各部門で様々な情報が入力され、その情報が別の人によって引き出される。役に立つ情報を即座に手に入れ、素早い経営判断や戦略決定に生かしたいと、経営者も情報を引き出す。ところで、今引き出したその情報は、それで本当に正しいのだろうか。

不確かな情報が氾濫している

 経営者は、社内外の情報を総合的に見る必要がある。多くの情報を入手し、それを参考に経営面の手を打つ。ただ、企業の中では全社的な経営管理システムと、販売や生産、経理など各部門のシステムとが別々に動いていることも多い。すると、各部門内の情報が「コマ切れ」になり、関連性が見出せなくなってくる、多くの情報を手に入れることで逆に情報が氾濫し、返って「足下が見えない巨人」にしてしまっているのでは? 当社にはそう思えるのである。

「一括管理」という大きな課題

 企業の中を膨大な量の、整合性が取れていない情報が錯綜する。当然、正誤の判断がつきにくい情報をたくさん目にすることになる。経営管理システムの情報からは、各部門ごとの細かい事情や問題点がさらに見えなくなってくる。それが間違っているのか、有効なのか、曖昧なままの情報で、会社を存続させるための判断を迫られるのである。もちろんこのままではまずい。そこで出てきたのが、情報を一元的に「一括管理」しようというテーマである。

もう一つの課題が「リアルタイム処理」

 ある会社で毎日1000枚の売上伝票をコンピュータに入力しているとする。ある日、突発的に伝票が1500枚に増えた。1200枚しかその日のうちに入力できず、300枚を翌日に持ち越す。そんな事情を知らずに社長が引き出したのは、「リアルタイムな情報」でなく、正しくもない。対応を誤ることにもなりかねない。情報を有効に活用するための「一括管理」「リアルタイム処理」という2つの課題。それを解決するのが、「バーコードシステム」なのである。

バーコードが「一括管理」を実現

 では、第一の「一括管理」について。コンビニで“この商品が1つ売れた”という商品ごと情報が、バーコードシステムで読み取られ、直接本社のホストコンピュータに入る。一つの情報が企業内に流れ、それをもとに商品戦略、在庫管理、物流管理といった各部門の業務が進められていく。情報の「コマ切れ化」がなくなり、各部門間の情報に共通性が出てくる。戦略的な情報システムが実現し、企業のあらゆる場面で有効に活用できるようになるのだ。

そして「リアルタイム」に

 第二の利点が「リアルタイム処理」。バーコードを一回読み取った時点で、「製造年月日」「商品名」「種類」「番号」「製造場所」などの情報にアプローチ。その商品の今の状況を、生産・流通・販売までの全プロセスで入手できるのだ。しかも、ほとんど無人で自動的に読み取れるため、知識や熟練が要らず、入力段階でのミスもまず起きない。こうしてバーコードは企業のコンピュータと結びつき、生産工場や物流部門など産業のあらゆる場面に広まっていったのである。

強力な製品が残した提案力というテーマ

 バーコードを産業界に持ち込んだ企業。それが当社である。84年、現在主流の「半導体レーザー」を利用したバーコードリーダーを国内で初めて開発。小型化、低価格化、超寿命化を一気に果たし、その後も次々と新製品を生み出してきた。優れた製品群は、製造業、レジャー、放送、医療など幅広い分野で評価を獲得し、需要の広がり共に当社も業績を拡大してきた。だが、「説明すれば売れた」ほどの製品力は、営業社員の成長を邪魔していた。単に製品を売るだけでは、バブル崩壊後、企業の情報活用技術が高度化している現状に対応できない。そこで単品売りからシステム営業への体質変化、つまり提案型営業の推進というテーマが浮かび上がってきたのである。

業界別の営業体制による提案力の強化

 当社が打ち出した戦略は、5部門による業界別営業。バーコードが産業界全体へと浸透し、一人の営業が各業界の生産プロセスを把握することは困難になった。戦略的な情報システムに踏み込んだ提案をするには、ユーザーをより深く知る必要もある。そこで共通性がある業界をグループ化し、業種特有の業務知識を蓄積。営業を専門特化して、システム全体を企画・提案できるようにする。また、93年にはシステム面でのユーザー対応を目的にシステム開発部を新設。さらにユーザーの生の情報を開発にフィードバック。営業・システム・開発が一体となって事業を展開する。こうして提案型の営業体制の確立、コンサルティング力を育成する環境づくりを進めている。

海外戦略、そして企業理念

 バーコード市場は、21世紀に1500億円規模になると見られている。今後も当社の成長は続くだろう。その中で当社が果たす使命とは。企業を存続し、社員と家族の生活を保障する。新しい自動認識技術を開発し、社会に提供する。他のアジア諸国の発展にも貢献することである。その拠点として中国・韓国・台湾に合弁会社を設立。米国にも拠点を持ち、自動認識の最新技術を収集。そして「米・中・日」「韓・台・日」と大小2つのトライアングルを築き、技術の水平分化を図っている。中国・韓国から技術研修生を受け入れ、帰国後は合弁会社で活躍してもらう。実際、韓国の合弁会社は自動認識分野の国内トップ企業へと発展。技術を通じた国際貢献を果たしている。

海外に広がった自分の仕事の場

 正直言って、入社前はこんなに海外に行くチャンスがあるとは思わなかったですね。営業第一課では電気・電子、自動車などのメーカーを担当しています。私自身は大手のコンピュータメーカーさんを受け持っていて、工場で使われるバーコードシステムを扱っています。今は、生産の効率のために、工場を海外に移す動きが目立っていますよね。担当のユーザーさんでも海外への工場進出が進んでいて、タイとフィリピンの工場にバーコードシステムを納入しています。その関係で、これまでに5回ほど海外に出張しましたね。海外の仕事で難しいのは、現地の人々がバーコードのような道具を使うことに慣れていないことですね。1週間ぐらいの出張中にバーコードの概念とか、メリット、使い方などを理解してもらわなければいけません。うまくいかないとトラブルも多くなりますし、トラブルが起きてもすぐに駆けつけられず、電話やファックスで対応することになってしまいますからね。そうした苦労があるからかどうか、バーコードシステムが順調に使われ、工場の稼働が軌道に乗ると、自分も相手国の発展や雇用の促進などに少しは貢献できたのかな、という気持ちになれますね。

知識と情報力と提案力をつけたい

 私が当社に入社したのは、これから本格的な成長期を迎え、知名度も上がっていく、という発展途上の魅力を感じたためです。あとは、社長の考え方や人柄にひかれたということも大きいですね。実際に入社してまず感じたのは、それ以上に「バーコードシステムは奥が深い」ということです。配属後は、いろいろな先輩に同行して営業活動を勉強していましたが、ユーザーの情報システムにつっこんだ話が多く、知識不足を痛感しましたね。もう先輩の商談の進め方、提案の内容などを必死で盗みまくっています。それに、営業部門では、バーコードリーダー、情報システムとのやりとりをするソフト、他社製のプリンタなどを合わせてシステム提案することも多いんです。新しいプリンタが出ると、すぐに取り寄せて性能評価も行います。で、これは製品の知識や動向を知るための絶好のチャンス。自社・他社を問わず製品に触れる機会を増やすようにして、知識を吸収することに専念しています。まずは知識と情報から。あとはとにかく一つ一つの案件を実地で勉強して、提案力をつけていきたいですね。早く自分一人でシステム提案できるように、と頑張っています。

ユーザーの勉強と地道な情報収集から

 食品、薬品などのユーザーさんが私の担当。この分野の生産工場の特徴は、扱うものが液体や粉末だったりして、何かと管理がしにくいことですね。そうした生産現場の課題を聞き出して、バーコードシステムで課題を解決していく、というのが営業の役目です。課題といっても、信頼関係を築いていないとユーザーさんはそう簡単には話してくれませんし、ユーザーさん自身も何が課題なのか見えていないこともあるんです。商談の中で課題や要望をクリアにして、「こういう風にバーコードを使うと、これが解決できて、こんなメリットがありますよ」というように具体的な形で提案して初めて、受注があるわけです。ただし、課題解決の提案をするには経験も大事ですが、まずはユーザーの生産プロセスをきちんと理解していないとダメですね。ここではどんな作業をしていて、どんな材料を扱っているのか。何が大変で、何に困っているのか。その辺を生産管理の人ばかりでなく、生産ラインの人にもどんどん声をかけて、仲良くなって生の声を聞くんです。いってみれば、勉強と情報収集ですね。それでやっと糸口が見えてくるという感じすから、地道な仕事なんですよ、提案って。