21世紀、日本企業は生き残れるか。

“情報が企業経営のカギを握る”。もはや産業界の決まり文句ともなったこの言葉を実践するように、どの産業のどの企業もが、積極的な投資によって強力な情報システムを構築してきた。今では有効で役に立つ情報をリアルタイムで入手して経営の意思決定を下し、素早い戦略立案へと結びつけていく時代が訪れている。同時に、各セクションにおける情報化も進み、誰もがコンピュータシステムを使って業務を推進していくことが当たり前になってきた。そして、今後求められているのは、情報システムを形にするだけでなく、経営ブレーンとして企業戦略を理解し、もっとトータルに「情報」を扱う仕組みを考えていくSI(システムインテグレーション)集団なのである。

インフォメーション・エンジニアリングとは
未来の企業経営構築をサポートする先進事業である。

 まだ明確な定義が固まっていない“インフォメーション・エンジニアリング”という新しい概念がある。これは、企業活動におけるあらゆる情報を工学的に処理していくことを意味している。そうした21世紀の情報化のトレンドとなる概念を社名に込めて生まれ、当初から“インフォメーション・エンジニアリング”というコンセプトを明確に打ち出してきたのが当社である。今や裾野を大きく広げた情報サービス業界の中で、情報化の上流工程となる、システムインテグレーションやコンサルティングを主なターゲットにしてきた。そのため、単にアプリケーションシステムを開発するだけの会社とは一線を画している。大規模プロジェクトをダイレクトに受注し、自らプロジェクトを提案。いろいろな技術分野のスペシャリストをコーディネイトしていく“プライムコンダクター”という位置づけにある。ユーザーの経営課題に直結するところでのビジネスこそ、当社がめざしている方向である。

 事業のコンセプトからもうかがえるように、当社のこれまでの実績はユーザーのシステムをトータルにとらえたものが多い。技術的に言えば、ユーザーが従来から築き上げ、データを蓄積してきたメインフレーム系の基幹システムから、オフコン、UNIXやWindows NTをプラットフォームとするCSS(クライアント/サーバシステム)系の業務システムまで。あらゆる機種、プラットフォームの技術を対象にしているのである。これまで、OLTPやMVS、ミドルウェアなど、OSとアプリケーションの間を埋めるコントロール系のシステムを中心として、グループウェアを用いた大規模なCSS、ALMなどの新しい技術まで、各分野で技術トピックスを築いてきた。とくに大手企業では現在、これまでそれぞれ別個に構築され、情報が異なる形で分散している基幹システムと業務システムなどの融合というテーマを掲げている。こうした新しいニーズの担い手として、当社には産業界から大きな期待が寄せられている。

インフォメーション・エンジニアリングを
推進していく時に必要になるSE。
それは、企業経営について
発展的な視点で考えている人材である。

よく言われることではあるが、情報システムは“人”の能力による部分が大きいビジネスである。とくにインフォメーション・エンジニアリングのようにコンサルティングを核とするビジネスでは、人材が持っている技術や知識、豊富な経験の積み重ねが、ユーザーの満足度を決定づけると言っていい。当社にとって自らのビジネスの価値を高めていくこととは、間違いなく人材力を強化していくことを指すわけである。ただし、どんなに優れた技術を持っていても、それだけでインフォメーション・エンジニアリングは推進できない。表面上は見えてこないユーザーの本当の課題がどこにあるかを見出し、どういう形で解決していくかを模索していく。これらは企業経営に関する分野であり、技術とは一歩離れたところにあると言えるかもしれない。メインフレームからPCまでの広い技術知識を持ちながら、なおかつ企業経営やユーザーの業務知識にも精通し、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を発揮していく。つまり人間性という基礎の上に、技術という応用を築いていく人材。そんなバランスのとれた人材が求められているのである。

人材戦略

 会社は社員が自分の夢を追求するための“ステージ”である。当社では設立以来、このポリシーを貫いてきた。当社の方向性や考え方に共感した人材がステージに立つ。そして会社は、ステージで活躍してもらうために様々な研修メニューを用意し、社員が身につけた能力を正当に評価する。こうした環境の中で、社員は自分のために仕事をし、能力を磨き、それが会社に利益をもたらし、やがてはユーザーや社会に貢献していくことに結びつける。そんな好循環の会社をめざしている。

能力主義

 当社では10等級から成る職能資格制度を導入。各等級に必要な能力基準を明確にし、能力開発の目標にしてもらっている。テクニカルな面ばかりでなく、対人折衝能力やプレゼンテーション能力なども、職能基準の中に盛り込まれている。そして、社員が身につけた能力に対して、相応のポストや収入が実現できるような体制を築いている。

PO制度

 職能資格制度の一環として生まれたのが、PO(プロダクト・オーナー)制度である。これは、一つの技術についてPOとして認められた社員が、テーマに従った研究をしていくもの。ミドルウェア、LAN、JAVAなどの新しい技術をテーマとして設定し、社内でエキスパートを育成。ユーザーに対してあらゆる技術分野を包括した提案ができるように、会社として幅広い対応力を形成していくことにもつながっている。現在、32のプロダクトが進行中だ。

国際技術交流

 1996年から、インドの大手ソフトウェア会社と提携し、2名ずつ1年間の交換留学を実施している。人選は応募制で、面接などを経て決定。インドはUNIX系の技術に優れているため、当社にとっても吸収すべきものは多い。また、社員が海外の文化に触れる機会にもなる。逆にインドの会社にとっては、当社のメインフレーム系の技術を習得するメリットがある。

10年。
私たちが見つめていたのは、
常に一歩先の未来である。

当社は1985年、コンピュータ・ビジネスをリードするI社、ソフトウェア業界を代表するC社の2社の共同出資によって生まれた。ハード、ソフト双方の実力企業のバックグラウンドのもと、当社が設立コンセプトにしたこと。それは、ただユーザーに要求されたシステムを開発することではなかった。ハードウェア、アプリケーションシステムという両極の技術ノウハウを継承し、やがて必要になるインフォメーション・エンジニアリングというマーケットを創り出していくことだった。そして、設立3年後の1988年には通産省からSI企業として認定を受け、1991年にはシステム監査企業としての登録。今日までにあらゆる業界の、大規模システム構築を数多く手がけ、順調な成長を続けてきた。いわば、時代の1歩先に目を向けて誕生し、次の時代の情報化の潮流を先取りする形で事業を展開してきた企業なのである。その基本スタンスは、「情報」を取り巻く技術やトレンドが激しく変化していく中にあっても、永遠に変わることはない。

インフォメーション・エンジニアリング、
日本代表企業として。
やがて、世界の
リーディングカンパニーとして。

 当社のビジネスは、情報システムという枠の中では完結しない。コンピュータシステムよりももっと上流に位置する、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)的手法によるユーザーの業務プロセスの見直しからスタートし、経営に直結した課題に対するコンサルティングを行っていくことをめざしている。言い換えれば、経営の課題を、情報という観点から解決していくプロフェッショナル集団ということになるだろう。そして、インフォメーション・エンジニアリングという概念を社会に浸透させ、そのリーディングカンパニーとして歩むパースペクティブを描いているのである。
 もちろん、それは脆弱な企業基盤で実現できるものではい。現在は、近い将来の株式上場をめざし、着々と準備を進めている。企業としての体力を強化し、より大規模なシステムへの対応力を拡大。さらに人材教育、技術研究へと積極的に投資し、インフォメーション・エンジニアリングの第一人者としての地歩を固めていく。その結果、21世紀には、どこよりもハイレベルで、どこよりも多くのシステムコンサルタントを抱える企業へと成長を遂げているはずである。