プレゼンテーション−−。コンサルティング企業の企画提案型ビジネスは、すべてここから始まる。

 会社の設立は1988年。同社は、不動産に関するコンサルティングを専門に行う企業である。最近はマスコミにも盛んに取り上げられており、この点からも各方面から注目を集めるビジネスであることがうかがえる。また、全国の税理士ネットワークの主催企業でもあり、税理士向けの月刊誌・書籍の出版事業、セミナーの開催など、税務会計事務所に対する経営コンサルティングも事業の柱へと育っている。

企画提案書をもとにしたプレゼンテーション。会社のビジネスは、そこからスタートする。

マーケットとは、あとから参入するものではなく、自ら創り出していくもの。創造ができる社員に期待したい。

あるニュース番組、ブラウン管に登場

 ニュース番組の中で、会社の事業が取り上げられた。この2つの番組に共通しているのは、どちらも都市部の地価高騰とその後のバブル崩壊によって、土地などの資産を相続する際の「相続税」にテーマをあてた内容だったことである。

コンサルティング。ほんの少しだけ、相続税の話

 土地や家、建物などを親から受け継ぐと、「相続税」が発生することはよく知られている。だが、その納付方法まではあまり知られていないのではないだろうか。一括納付や分割納付など金銭での納付が一般的だが、特例的な救済措置として相続した土地を税額に見合う分だけ国に譲り渡す方法もある。この方法は、「土地」という「モノ」で納付するので、「物納」と呼ばれている。バブル経済とその崩壊によって巨額の相続税が課せられる人が増え、現在はこの物納方法が急増しているのだ。ただ、物納には厳しい土地条件があり、規定に合わない土地を“特例の特例”として物納申請する人も増えている。そこで、相続税に熟達した専門家への相談依頼が相次ぐようになった。会社はこうした不動産コンサルティングの専門企業であり、相続税の納付に悩む人たちを知識とノウハウでサポートしてきた。各マスコミもそうした会社の事業にスポットをあてたのである。

新業態の誕生。今までになかったニュービジネス

 会社は、土地や建物などの資産をよりよい形で所有し、活用していくための総合的なコンサルティングを行っている会社である。一口に「土地」といっても様々な条件がある。たとえば「借地権」という言葉は一度は聞いたことががあると思うが、こうした権利が複雑に絡み合っていて、所有者が自由に処分したり、ビルを建設したりできない土地が無数にあるのだ。「貸宅地」、つまり住宅として貸している土地などは、借地権などの権利が絡むため、管理や運用を所有者本人が行うのは難しい。こうしたニーズに応える不動産コンサルティングは時代が求める新業態であり、日本ではこれから急速に拡大していく分野なのである。

プランを立案する。企画提案書から始まるビジネス

 会社への依頼は、相続税の相談を受けた税理士から寄せられることが多い。まず、土地貸借の契約内容から地代の収入分析まで、事前に物件を綿密に調査する。状況を細かく把握・分析し、調査報告書にまとめていく。また、土地のよりよい活用方法は、形状や立地、周辺の環境などでも微妙に変わってくる。そこで土地の活用形態をシュミレーションし、依頼者のニーズをふまえた上で最適な活用方法を企画し、提案していく。そしてプランの実行までをサポートしていくのである。

相続対策。相続に備えたコンサルティング

 会社の事業の中心になっているのが、相続への対策づくりである。一つは、将来相続が発生した時に備えた対策を講じ、有効な形に土地条件を整備しておくこと。もう一つは、実際に相続税の納付に直面しているケースでのコンサルティングである。相続税の納付方法はもちろん、物納の基準を満たしていない場合は整備・調整から特例申請まで、幅広い範囲にわたってコンサルティングを行っていく。

開発事業。有効活用プランを形にしていく

 土地活用シミュレーションでは、等価交換によるマンション建設、ビル建設の収支予測もなされ、多様な活用方法が検討される。会社では、設計事務所や不動産・建設会社との密接な連携を図りながら、ビル・マンションなどの設計・プランニングにまで関わっていく。

財産管理。資産の管理・運用面もサポート

 会社のビジネスは、実際に管理・運用の支援を行うところまで広がっている。マンションなどの分譲から、賃貸・仲介までトータルなサービスを提供。将来的には不動産関連の店舗を開設し、本格的に賃貸・仲介業務を展開していく構想も持っている。

すべては創造から。事業を創り、マーケットを育てる

 「マーケットというは参入するもではなく、自ら創り出していくものである」 これは、ビジネスにおける私の持論です。会社の経営ポリシーも、他社の真似をするのではなく、自社の手で新しいビジネスを創り上げ、そしてマーケットを育てていくことにあります。実際、会社のこれまでの歴史は、マーケットの創造と育成の連続だったのです。もちろんこのコンセプトは、今後も変わることはありません。また、会社のようなコンサルティング型の企業では、企画提案の価値がそのままビジネスの“質”となります。企画提案という仕事は、個々のお客様に対して最善・最高のプランを創り出していくことにほかなりません。社員の仕事は、常に「ノウハウとアイデアをもとに新しいものを創造していく」という活動が中心になっているわけです。

行動力への期待。“考え”を仕事に生かしてほしい

 もう一つ、会社の特徴を言うなら、少数精鋭のビジネススタイルだということです。社員一人一人が自分の担当の業務を持ち、社内では大切な役割を担っています。そのため、若手社員であっても「上司に言われたことを、指示された通りに正確にこなしていく」というタイプの仕事はありません。社員が自分の考えに基づいて仕事に取り組み、お客様に対してメリットを提供し、利益を生み出していく。そんな行動力にあふれた人間が結集し、その結果、会社として強力なパワーを形づくっている集団なのです。それに会社の設立は1988年。設立後まだ10年にも満たない新しい会社ですから、本格的に成長していくのはまだまだこれから。自分の手で会社を創り上げたいという意欲に十分応えられる可能性を秘めた会社ですし、私自身もそうした意欲を持った社員と一緒になって将来の会社を築いていきたいのです。

出版事業。税理士支援ネットワークから生まれた新しい事業部門

 会社では、全国の税理士・会計事務所を対象にした支援ネットワークを主催している。ここでは税理士や会計士に向けたセミナー、スクールの開催から、日本企業の進出が目立つ中国への「視察税理士ツアー」の企画まで、多様な活動を行っている。新しいビジネスが生まれる可能性を秘めたネットワークともいえ、その一つの例として最近では事業の一つの柱にまで成長してきたのが出版事業である。出版事業部では、税理士・会計士向けのコンサルティング雑誌を発行。また、小冊子やマニュアル、書籍など各種印刷物の編集・制作を行っている。出版事業部のターゲットは単なる税務解説ではなく、これからの税理士・会計士、税務会計事務所のあるべき姿を考え、示唆していくこと。近年、税制の多様化などにより、税理士・会計士に求められる要素は多岐にわたってきた。いわば税務会計事務所のための経営コンサルティングといえるだろう。

何よりも信頼が大切。お客様が長い間大切にしてきた資産を対象にする仕事

 仕事を通じて感じるのは、まず自分自身が提案することに喜びを持つことが基本だということです。会社のビジネスの対象になっているのは、土地や建物などの大型の資産。それもお客様がずっと大切にしてきた資産ですし、相続税の課税と納付などは一生に一度の大きなことなのです。そうした大切なことを依頼されるわけですから、何よりも信頼関係が重要になってくるのです。お客様に信頼していただくには、確かに知識や経験、ノウハウなども必要です。しかし、それ以上に「この人だったらすべて任せたい」と思われるような人間関係も欠かせません。自分が仕事に対してどれだけ熱意を持っているのか、といったことも信頼関係を築くためのカギになるのです。また、会社では基本的に、仕事はすべて担当者に任されます。長い期間をかけて、自分で1から10まですべてのプロセスに関わっていく。だから一つ一つの仕事に愛着が持て、一通りのプロセスを終えた後の手応えも大きいのです。