国際都市・東京を舞台に
新しい時代の住環境を創造する
住宅行政の重要なパートナー。

 当社は昭和41年、都民のための住みよい住宅供給を目的として、東京都の全額出資で誕生しました。住宅建設の企画・構想からから設計、施工管理、管理・メンテナンスに至るまで一貫して取り組んでいます。社内では各部門のローテーションを実施し、一人一人が各方面の知識やノウハウを吸収。幅広くすべてを見渡せるゼネラリストを育成しています。住宅環境が変化を遂げる中、若手スタッフの活躍に期待が寄せられています。

東京都の住宅行政のパートナー

 当社は1967年、地方住宅供給公社法に基づき、東京都の全額出資によって設立された特別法人です。その目的は、中堅所得層の都民を主な対象に、優良な住宅を賃貸・分譲によって供給していくこと。いわば、東京都の住宅行政における重要なパートナーという位置づけるにあるのです。しかも、こうした公共性とともに、事業を独立採算によって行っていく事業性も持ち合わせた集団です。現在までに住宅戸数は充足されたものの、東京の住宅水準、住環境はまだまだ十分とはいえません。当社では、21世紀に向けた新しい都民生活の実現のために、生活の豊かさを実感できる“テイスティライフ”の創造をめざしています。91年にはCIを導入するなど、当社自身も次々と積極的な試みを繰り広げており、新しい時代にふさわしい東京の快適な住環境を提供していこうと考えています。

白紙の状態から開発事業を展開

 当社の事業は、企画・構想から始まります。交通アクセスから周辺環境まで、用地に関する細かい情報収集や調査を行い、分譲価格、賃貸料、その利用計画や経営採算、さらに資金の確保などを検討。事業化用地としての適性を追求し、住環境の企画構想を綿密に練ったうえで、基本設計へと進んでいきます。また、当社の活動は住宅だけに限られているわけではありません。地元自治体との開発協議も行いながら、居住者の日常生活を考慮して各種店舗や医療施設、銀行、保育園や幼稚園、小・中学校、道路や公園などまで、施設整備も含めて“街づくり”という観点から進められていきます。さらに市街地再開発、土地区画整理事業などの都市整備事業にも積極的に取り組んでいます。ちなみに94年度の総事業予算はおよそ4500億円。ビッグなスケールのプロジェクトが数多く進められているのです。

様々な手法で価値ある住宅を創造

 全国には56の公社がありますが、住宅問題は都市部に集中しており、当社の使命は土地資源の限られた中で難しい住宅問題を解消していくことなのです。そのため戦略、技術の両面で先進性が求められています。東京都は21世紀を展望し、90年代を“住宅の10年”と位置づけ、総合的な住宅対策を実施しています。当社では東京都との密接な連携のもと、多様化するライフスタイルに対応した快適な住環境づくりに力を入れています。一例をあげると、高地価を家賃に反映させない「都民住宅」、入居者主体で詳細を決めていく「コーポラティブ住宅」、「民間提携住宅」、「超高層住宅」、「ケア付き高齢者住宅」など。多様化、複雑化する社会のニーズを先取りし、様々な手法を考えながら価値ある住宅を供給していく。そこにはベテランの経験と、若手の発想が結集されていくのです。

建築、設備、土木にわたる建設部門

 当社では実際のモノづくりを担当する建設施工部門を有しています。プランニングされた住まいや街のイメージを実際に具体的な形にしていきます。その領域も建築工事はもとより、土木・造園工事、設備工事まで一通りの分野をカバー。工事は発注主を建設会社や設計事務所に対して管理・指導していく立場にあり、大手ゼネコンが持つ最新の技術を吸収し、社内に技術ノウハウを確立しています。近年では、大川端リバーシティ21「コーシャタワー佃」のように、東京都の住宅局、住宅・都市整備公団、大手デベロッパー、当社の共同によって、10カ年計画という長い年月を経て完成させたプロジェクトもあります。超高層の建築技術から、地球環境に配慮したエネルギー利用システムの設備技術、自然との融合を図るための土木技術まで、モノづくりの実力も当社の特徴です。

入居者募集から営繕まで幅広い業務

 当社の活動は、それぞれの住宅の管理や営繕業務にまでわたります。管理業務を担当しているのが本社の管理部と12営業所・16出張所で構成される拠点です。管理セクションの業務は、入居者の募集から相談への対応、入退居などの手続き、家賃などの収納、窓口業務、共益費の運営、住まい方の指導、土地・建物の財産管理、周辺環境の整備、そして住宅や設備の営繕・保守、あるいはこれらの管理業務の企画・計画、管理のソフト面の充実・管理手法の構築まで、実に多種多様です。一方、既存住宅のグレードアップを図るため、空家住宅のリフォームや増築工事も行っています。このほか、オートロックやCATVといった居住水準の向上を図るための新しい企画も積極的に進め、子どもからお年寄りまでが安心して、満足感を感じながら暮らせる環境づくりにも余念がありません。

管理部門は100万人との接点

 当社が供給した住宅は7万4000戸あまり。また89年には(財)都営住宅サービス公社を統合し、都営住宅などの管理業務を継承しています。都営・区営などの公営住宅は25万戸を超え、合計32万戸以上もの管理を行っている計算になります。一世帯3人家族としても、100万人の都民との接点になるわけです。また、住宅を常に最適の状態に保つためには、綿密な計画に基づいた保全活動が欠かせません。営繕工事の計画づくり、設計、監理なども管理部門の重要な業務になっています。

生の情報を開発に生かすという期待

 麻布営業所だけでも、全部合わせて3万戸近くの住宅を管理しています。電話や窓口などでダイレクトに入居者と接し、相談に応えたり、様々な受け付け業務、クレーム処理などを行うのが、業務係の仕事です。公社や都の住宅は入居に条件や規定があるため、相談や質問に応えることも多いですね。面白いのはそうしたたくさんの人の、実際に住んでいる場面での情報を豊富に入手できることです。最近では収集した情報を開発部門にフィードバックしていくシステムもできつつありますし、管理部門からの話もずいぶん吸い上げてもらっているんですよ。

住宅問題を解消する企画にもタッチ

 私が所属する総合計画課は、用地の取得から企画・設計、工事まで、プロジェクトの進行を管理・サポートしていく部門。その過程では家賃や分譲価格の設定なども行います。また新たな制度に対応した“商品企画”も私たちの守備範囲です。この中で私自身は建設事業の管理のほか、新しい制度の研究、ほかに「ケア付き高齢者住宅」のプロジェクトにも関わっています。とにかく住宅問題は東京ばかりでなく首都圏や都市部全体のテーマになっています。こうした問題に対して、解消していくような新しい企画に関われるのは魅力がありますね。

一つ一つがビッグで長期にわたる

 開発室は事務系6名、技術系13名で構成され、4つの班がそれぞれにプロジェクトを担当しています。業務とすると、取得した土地の周辺環境などに応じたプランニングから、地元自治体との開発協議、さらに設計部門に引き継いでいく前に住民説明などまで。いわば事業のコンセプトづくりを担当するわけです。最近とくに配慮を払っているのが、“地球と人に優しいこと”ですね。開発は息の長い仕事で、どんなに短いものでも用地取得から完成までには5年ほどはかかります。とてつもなくビッグなものを手がけているんだという実感があります。