3日で覚えるビルメンテナンス入門。 まずは、先輩たちの“マネジメントワーク”を正しく知ってください。

 同社はビルメンテナンスを中心に不動産・建設まで、都市空間に関連した事業を展開する企業。ビルメンテナンスは社会に不可欠のものであり、とくに快適な環境づくりが叫ばれる現在では、社会的な意義も高まっている。また、ビルが存在し続ける限り永遠に必要とされるため、安定性と将来性を持った業界ともいえるだろう。同社では業界の安定性に甘んじることなく、提案型ビジネスのポリシーを貫いた積極経営を推し進めている。

まずは自分の部屋を隅々まで磨き上げて、疲れてみる

 キョーエーメックのメインの仕事であるビルの総合マネジメント。当社の多くの先輩はビルメンテナンス業務の現場における管理業務を担当している。これから管理業務という仕事を順を追って紹介していくわけだが、基礎編ではビル管理の一つである清掃業務を例にとってみよう。まず、自分の部屋をくまなく隅々まできれいに掃除してみるとする。もちろん天井も磨き上げるし、トイレやバス、キッチンなどの水まわりも完璧にクリーンアップする。たぶんやる前に「やだなぁ」と思うか、実際にやったらへとへとに疲れるはず。そう、“清掃は大変”なのである。

巨大なオフィスビルや店舗ビルを掃除するとなったら、どうする?

 もし、清掃する対象が自分の家ではなく、大きなビルだったらどうなるか。オフィスビルだったら床を拭くだけでも膨大な作業になるし、百貨店などの店舗の床にゴミが落ちたままだったら、来店したお客様のイメージダウンにつながってしまう。もちろん清掃は単にきれいにするだけではなく、劣化を防止する意味もあるから、ビルや設備を長持ちさせるためにも完璧な作業が必要である。それに、ビルにしろ店舗にしろ、そこを使っている人がいるわけだから、いつでも好きな時間にのんびり清掃できるわけでもない。限られた時間内にスムーズに行うのである。

人に大変な作業をやってもらう、第一歩は謙虚な気持ちなのである

 管理業務に携わる社員は、自分の手で清掃はしない。実際の作業を行うのはパートやアルバイトのメンバーである。仕事の内容は、スケジュール管理から、メンバーに対する作業の指示と確認といったところが中心になる。実際に作業行う人たちが動きやすいように環境を整え、最大限の効率で動いてもらう。言い換えれば、メンバーが“掃除という大変な作業”をする上で必要な計画をつくり、“膨大な作業”を計画通りに遂行する指揮をとることなのだ。人に大変なことをやってもらうのだから、何よりも素直で謙虚な気持ちが第一歩となるのである。

年上の人とお茶を飲んで、話をしてみることからはじまる

 作業をするのはだいたい年配者。世の中では“おじさん、おばさん”といわれる人たちで、逆に新人は“息子、娘”の世代。この道ウン年というベテランも多くて、作業の知識もたくさん持っているし、何人もの管理スタッフのもとで仕事をしてきている。いってみれば新人は“まな板の上の鯉”。相手の意見を尊重し、わからないことは素直に質問する。一緒にお茶を飲んだりして、相手の土俵で話をすることを身につける。相手のペースで会話をすることは、対人関係の基本中の基本。人生のいろいろな場面(あえて恋愛とはいわない)で役に立ったりする。

信頼してなるべく任せることも、管理業務のポイント

 清掃の話ばかりだと、清掃業務しかやっていないように思われるかもしれないので、ここでは保守・営繕を例にとってみる。設備や内装などを点検し、必要があれば専門の業者に修理してもらうのが基本的な動きだが、毎日行う身近なものでは照明機器などある。蛍光灯がチカチカしていたら事前に交換し、未然防止に努めるものは当然のこと。でも、すべてを自分で点検する時間的にも無理。「2階の照明は○○さんに任せたね」といえば、メンバーも仕事に対して張り合いや責任感が持てるというもの。信頼して任せる要領も、管理業務のカギなのである。

お互いが気持ちよく自分の役割を果たせる信頼関係がカギ

 結局、管理業務というのは“人間対人間のコミュニケーション”が大前提になっている。ミスしたときも、うれしいときも、何でもホンネで話せる“信頼関係”があってこそ、現場の仕事がスムーズに進行していくのである。そのため新人管理スタッフの仕事はまず、他のスタッフやメンバーを信頼し、理想的な人間関係を築いていくところから始まるといえるだろう。こうしたコミュニケーションがしっかりしているから、パート社員の定着率も抜群の高さを誇っているのである。信頼関係の大きさと強さも、管理スタッフの実力の一つに数えられるのである。

労務管理、収支管理などにも、積極的に首を突っ込んでみる

 さて、いよいよ最後のステップである。今まで紹介してきたのは、実際の作業に関するマネジメントが中心だった。しかし、いくらいい仕事をしてクライアントに喜ばれても、適切な利益があがっていなければダメ。決められた予算の中で契約した業務を的確に行っていくのである。またメンバーが仕事や事業所に満足感を持ってもらうことも大切。たいていの場合は、交代制勤務となるので最適な人材配置を実施し、なおかつパート・アルバイトのメンバーが安定した収入を得られるように配慮する。もちろん福利厚生制度の適用や利用などでもサポートしていく。

少しずつ老朽化するビルの、理想の状態を保つための提案活動

 ビルというのは2つと同じものがないから、一つ一つ違った管理業務が企画・立案されている。季節によっても管理する要素は変わってくるし、何よりも建物には必ず“寿命”があり、日々ほんの少しずつ古くなってていく。何年もずっと同じ管理業務を続けていては、いつかビルが老朽化してしまう。老朽化してからリニューアル工事などで対応したのでは、手遅れになるケースも少なくない。現在の管理方法が、明日も正しいとは限らないのである。そこで、常にビルの状態を見つめ、その時々にあった最適な管理手法を考え、オーナーに提案していくのである。

事業所長ともなれば、まるで一つの“会社”の運営責任者

 各事業所の管理業務は、事業所の所長、統括主任、主任というスタッフに任されている。実力主義を貫く当社では、入社数年で統括主任に、20代で所長にという昇進例も珍しくはない。中には200人以上のメンバーを抱えるビッグな現場もあるし、こうなると管理スタッフだけで10名ぐらいになる。どこの事業所でも共通しているのが、所長は事業所の運営責任者でもあり、統括主任や主任はその右腕であるということ。まるで一つの会社を経営していくようなマネジメント能力を発揮できるのである。そのフィールドは、関東エリアに20カ所以上に広がっている。