オリジナルの“風”をオーダーメイドで創り続けています。

チャンスを敏感に感じとり、 生かしていく人材に期待。

 社会にはさまざまな“風のニーズ”があります。ビルやホールなどでは呼吸器官として空調用の風が欠かせない存在であり、また自動車の風洞実験に代表されるように産業界でも多様な風が求められています。当社は、こうした風のニーズに応える“送風機”を主要製品にしている企業です。多彩な風をつくり出すエキスパートとして、ユーザーの満足を徹底して考え、どんな難度の高い要求にも応えることをめざし、オーダーメイド製品を中心に取り組んできました。いわば未知の技術を追求することによって独自のノウハウを確立し、その開発実績から業界内で確かなポジショニングを築いてきた企業なのです。
 一般に送風機は社会に不可欠の製品であるだけに、景気の影響を受けにくい業界といわれています。しかし、当社ではこうした安定性に甘んじることなく、新しい試みを繰り広げています。たとえば新しい環境として注目される地下空間の排気や、地下鉄の列車風の解消などをはじめ、送風機の新しい用途を積極的に開拓しています。また、送風機で培ってきた技術ノウハウを他分野へと応用し、新事業分野の開拓も活発に進めています。実際、1人の社員の提案から開発活動が始まり、実を結んだ新製品・新技術もあるのです。
 当社には、上司の指示通りに動く、決まったことを繰り返す、という仕事はありません。技術や営業といった職種を問わず、社内では1人1人の社員が自由に仕事に取り組み、常に新しいことへと挑戦を続けています。今後も起業家精神やベンチャー精神の旺盛な人間の集合体であり続けたいし、また社員の開発意欲にも100%応えていきたい。そして、社員が仕事に満足感を感じられる会社でありたいのです。チャンスをチャンスとして感じとることができ、そのチャンスを生かすことができる。そんな人材に期待を寄せています。

85%。その数字が表す機動力

当社の送風機のうち、85%はオーダーメイドでつくられた製品です。 あらゆる風のニーズに応えていく機動力が当社の大きな特徴。 また柔軟な組織のもとで1人1人が自由に仕事に取り組み、 社員のアイデアから“音”という新分野の製品も生まれています。

オーダーメイド主体の
基本スタイル

 送風機は目的や場所などの使用条件に合わせて、その都度、最も適した機種や機能が決定されます。その用途も、ビルや工場の空調から、トンネル内の排気、各種の大型プラントまでさまざま。ユーザーが求める“風”を実現するために一つ一つ設計・製作されていくのです。中には長期にわたって仕様が検討され、試作を繰り返し、10年がかりで完成する製品もあります。また同じものは2つと製作しないという典型的な少量多品種製品でもあるのです。そのため自主開発製品の85%までがオーダーメイド品で、規格品は15%だけ。こうして製作された送風機は、霞ヶ関ビル、サントリーホール、幕張テクノガーデン、東京都庁舎、新東京国際空港、筑波宇宙センター、国内の電力会社や製造業のほか、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなど海外の大型プラントや工場にも数多く納入されています。

思い立ったら即、
行動開始

 ユーザーの細かいニーズに的確に応えた製品を一つ一つつくり出していく。当社の活動で重要になってくるのが、機動力です。技術部門では産業用・空調用・軸流送風機と、機種ごとに担当者が分かれ、ユーザーとの仕様打ち合わせから設計、試作・実験、さらに新製品開発まで、1人のエンジニアが一貫して担当していきます。また営業部門では、入社1〜2年目の若手であっても担当のユーザーについては基本的に本人の裁量に任され、自分の意思や判断によって営業活動が進められています。それだけに仕事の自由度が高く、意欲次第で仕事の範囲はどんどん広がっていきます。何かアイデアが浮かんだら、とにかくまず行動に移してみる。今までも、これからも、横割りの柔軟な組織から生み出される機動力と行動力が、当社の最大の武器であることに変わりはないのです。

音を音で消してしまう、
新製品「ノイズ・イーター」

 94年10月に完成した新製品、アクティブ・ダクトサイレンサー「ノイズ・イーターJ1」。これは空調ダクトの音を音で消すという、先進テクノロジーを活用した画期的な消音システムです。これまで空調の消音は吸音材を用いるのが主流でしたが、高周波しか吸収できないという欠点がありました。ノイズ・イーターは、うねり音の原因である400Hz以下の低周波域を85%以上も相殺するのが特徴。特定周波数の強い卓越騒音に対しては20dB以上の減原音効果を持っています。このノイズ・イーターは、大阪で行われた「国際エレクトロニクスショー」でアクティブ消音のヒントを得たエンジニアが、空調用に応用しようと会社に提案。米国NCT社との2年越しの共同開発の末、製品として完成させたものです。このほか、「霜取り装置」や「竜巻ファン」といった新製品も開発しています。

ブレードの形状と風量、
その関係にせまる

 送風機はブレードの形状によって多翼ファン、ターボファン、ラジアルファン、軸流ファン、斜流ファンなどに分類されます。共通しているのは、いずれもブレードとモーター、ケーシングというシンプルな基本構造になっていること。ブレードとモーターの巧みな組み合わせによっていろいろな風をつくり出しているわけです。とくにブレードの形状・角度と風量の関係については長年にわたってノウハウを蓄積。その豊富なデータから独自に送風機シミュレーションプログラムや各種の技術計算プログラムを開発し、製品の設計に役立てています。こうした設計開発の積み重ねから技術の集大成として誕生したのが、ブレードの角度を自由自在にコントロールできる「当社可変翼軸流ファン」です。国内で初めて自社開発に成功し、すでに数1000台の製品を市場に送り込んでいます。

技術開発のための
充実した環境

 ニーズが発生してから取り組みはじめたのでは遅い。自主的に新しいニーズを探り、先見性を発揮していく。それが当社の開発ポリシーです。技術開発への投資は惜しみなく、充実した設計・開発の環境を形づくっています。工場内には実験棟があり、ここでは必要に応じてユーザー立ち会いのもとで実機モデルのテストを実施し、送風機の詳細な基礎データの蓄積へと役立てています。また設計技術者が自由に試験や試作に取り組める開発試験棟を設け、通常の製品づくりと並行して活発な開発活動を進めています。さらに音に関する試験室ではアクティブ・サイレンサー消音に関する研究開発が行われ、これからの技術である送風機の騒音や振動といったテーマにも目を向けています。このほか、大学への資料提供や共同研究にも取り組み、多角的に送風機の新技術を追求しています。


先輩の仕事から自由な風土を知る。

エンジニアも営業マンも、 仕事は違ってもどちらも目には見えない“風”が仕事の対象。 ユーザーが求める風をオーダーメイドで提供していく。 そんな目標に向かって、 みんなが自由に大胆に、仕事に取り組んでいるのです。

軸流ファンを設計する

 設計二課は軸流ファンを担当している部署。今までに手がかけた中に、JT本社ビルの空調用の送風機があります。空調用は標準品がベースになりますが、それでもユーザーが求める仕様によって機種を選定したり、取り付けやメンテナンスなどの面から個別の設計が必要。試作機をつくってテストも行います。それだけに納入される時は、一つの製品を完成させたという実感がありますね。

目には見えない生産技術

 送風機は量産品ではないだけに、自動化が非常に難しい分野です。これまでにケーシングの製造を溶接からシームへと変え、また遠心式送風機のブレード製造でも溶接ロボットを送風機メーカーでは初めて導入。“つくり方”という見えないものを開発し、確立していくのが生産技術の役割です。どうやってメリットを生み出していくか、その見極めとアイデアがカギになる仕事ですね。

初めての受注は図書館

 一般空調用の送風機の営業活動は、建築物の設計段階から始まります。設計事務所や設備会社などをまわって情報を早くつかみ、受注へと結びつけていきます。そして要求される仕様に合わせて最適な送風機を提案していくわけです。入社して初めての受注となったのが、千葉県の図書館に納入した送風機。専業メーカーでどんなニーズにも確実に応えていけるところが営業上の強みですね。

売り物はいろいろな“風”

 営業一課が扱っているのは、産業用の送風機。自動車メーカーが風洞実験をするために、時速200kmで走っているのと同じ状態をつくり出す風速70mの強風を巻き起こす送風機や、たこ上げ実験に使うというユニークな送風機まで、特殊な用途に使われるオーダーメイド製品が多くなりますね。それだけに長い年月を経て生まれた製品も多く、見積もりから納入まで10年以上を要する製品もあります。

エキスパートを育てる

 新入社員研修は那須工場で行われ、一般常識、当社製品の基礎知識、流通機構などを学んでいきます。配属後は各セクションごとにOJTを主体にした研修を実施。さらに管理職研修や一般事務職向け研修、技術部門の専門技術研究発表会、IHI研修センターでの個別研修などまで、階層別・キャリア別・職種別に研修が組み、“風”のエキスパートを育成しています。