東京都の住宅行政のパートナー

 当社は、地方住宅供給公社法に基づき、東京都の全額出資によって設立された特別法人。東京都の住宅事情の向上という視点から、生活を圧迫しない適正な家賃・価格で都民に快適な住環境を提供し、また住宅だけでなく地域社会と調和した街づくりを行っていくことを活動の基本にしている。いわば東京都の住宅行政における重要なパートナーというわけ。こうした公共性とともに、独立採算で独自に収益を実現していく事業性も持ち合わせている。

すべてを見渡せるゼネラリスト集団

 長期ビジョンに立ってプロジェクトを立案する「企画・調査」や「総合計画」。ゼネコンや設計事務所の知恵を借りてプロジェクトの全体計画を練る「開発室」。全体計画をにらみ、建築担当と設備担当に分かれてゼネコンの施工進行状況をチェックする「施工管理」など。さまざまな職種を約3年周期で経験し、プロジェクト遂行のための幅広い知識を身につけるのが“公社流”仕事スタイル。設計や施工のスペシャリストではなく、プロジェクト全体を見渡すゼネラリストの集団なのだ。

本格的な高齢社会に向けた新規事業

 高齢社会に向けて取り組んでいるのが「ケア付き高齢者住宅」。毎月の家賃を支払うのではなく、入居時に入居一時金を支払うことで終身居住権が得られ、生涯にわたって安定した居住空間を安心して使えるという画期的なシステムになっている。すでに第1号として「多摩ニュータウン」区域内に1団地350戸を建設中。さらに食事や健康管理など日常生活を支援する各種生活関連サービスの提供や、既存住宅の改善を含めて高齢者に配慮した住宅設備の充実を図っていく計画である。

開発企画から設計、施工監理、営繕まで。 東京を舞台に住環境をトータルに創造

 当社の事業はまったくのゼロから始まる。交通アクセスから周辺環境まで用地の細かい情報収集や調査。土地所有者と提携した「民間提携住宅」や公的な家賃補助の制度を有効活用した「都民住宅」など、公社の住宅にも多様なスタイルがあるため、活用法も考える。また分譲価格や賃貸料、経営採算なども検討。用地を取得し、開発企画を綿密に練った上で基本設計へと進んでいく。地元自治体との開発協議によって居住者の日常生活を配慮し、生活に必要な施設の整備など“街づくり”も行う。このほか市街地再開発、土地区画整理事業などの都市整備事業にも積極的で、事業予算は年間4500億円というビッグスケールだ。
  当社ではプランニングされた住まいや街のイメージを自らの手で詳細設計に展開し、工事監理までを行っていく。設計部門と建設施工部門を中心に多方面の技術者を擁し、建築工事から土木・造園工事、設備工事まで幅広い業務をカバー。建築の技術者であると同時に、発注者の代表として建設会社や設計事務所など民間企業の技術を活用し、そして監督・指導していく立場にもある。そのため大手ゼネコンが持つ先進の技術を吸収。超高層住宅の建築技術から、地球環境に配慮したエネルギー利用システムなどの設備技術、自然との融合を図るための土木技術まで、モノづくりの実力も当社の特徴になっている。
 入居後の管理。これも当社の業務である。入居者の募集活動から各種手続きなどの事務業務、そして営繕工事までが管理部門の役割。しかも公社住宅と、都営・区営などの公営住宅を合わせると32万戸もの住宅を管理している計算になる。住宅には必ず寿命があり、確実に劣化していくもの。長寿命の住宅を設計・施工することはもちろんだが、竣工後は綿密な営繕計画に基づいて、常にベストの状態を保っていくことも大切なのである。そのため、営繕工事の計画づくりから設計、工事監理なども管理部門の重要な業務。また、既存住宅のグレードアップを図るため、空家住宅のリフォームや増築工事も積極的に進めている。